都立霊園8つのうち、池袋都心部近くという絶好の立地にある霊園が、都立雑司ヶ谷霊園(ぞうしがやれいえん)です。著名な人物も多く眠る歴史ある雑司ヶ谷霊園について、その特徴や現在の募集状況などをご紹介します。
夏の合同募集にはなかった雑司ヶ谷霊園ですが、10月に一部施設で募集をしてるんです。
都立雑司ヶ谷霊園とは
雑司ヶ谷霊園の所在・概要
都立霊園の公式サイトから詳しい情報を入手することができますので、情報を抜粋いたします。
もともと雑司ケ谷旭出町墓地であったこの土地を、明治7(1874)年9月に東京府が引き継いで「雑司ケ谷墓地」として開設されました。その後、明治22年東京市に移管され、昭和10年に「雑司ケ谷霊園」と名称を改めています。
霊園名 | 開園年月日 | 開園面積 | 所在地 |
---|---|---|---|
雑司ケ谷霊園 | 明治7年9月1日 | 106,110㎡ | 豊島区南池袋4-25-1 |
青山霊園 | 明治7年9月1日 | 263,564㎡ | 港区南青山2-32-2 |
谷中霊園 | 明治7年9月1日 | 102,537㎡ | 台東区谷中7-5-24 |
染井霊園 | 明治7年9月1日 | 67,911㎡ | 豊島区駒込5-5-1 |
多磨霊園 | 大正12年4月1日 | 1,280,237㎡ | 府中市多磨町4-628 |
八柱霊園 | 昭和10年7月1日 | 1,046,468㎡ | 千葉県松戸市田中新田48-2 |
小平霊園 | 昭和23年5月1日 | 653,545㎡ | 東村山市萩山町1-16-1 |
八王子霊園 | 昭和46年4月1日 | 644,305㎡ | 八王子市元八王子町3-2536 |
もっとも古くに開設された4園のひとつで、当時からのケヤキの古木など緑のなか、夏目漱石・泉鏡花・小泉八雲・竹久夢二・永井荷風などの文化人が多く眠ることでも有名です。
雑司ヶ谷霊園のアクセス
東京の副都心・池袋の南東に位置する雑司ヶ谷霊園は、都内でも屈指のアクセスのよさと言えるでしょう。
最寄りは、都電荒川線(通称・東京さくらトラム)「都電雑司ヶ谷駅」から徒歩2分です。都電荒川線は、三ノ輪橋~早稲田間を走る都内唯一の都電で、地下鉄早稲田駅やJR大塚駅から乗ることができます。都内散策とあわせておすすめしたいですね。
東京メトロの駅では、有楽町線の「東池袋駅」下車(No.5出口)徒歩7〜10分、副都心線の「雑司が谷駅」(No.1出口)からですと徒歩約8〜10分となっています。目的地にもよりますが、管理事務所へ行くなら「雑司ヶ谷駅」の方が近いようです。
またJR山手線・東京メトロ・西武・東武線「池袋」東口からでも徒歩約15〜20分で着いてしまうので、お散歩がてら歩けてしまいます。
管理事務所・崇祖堂前には、施設利用者・関係者のみが使用できる駐車場がありますが、10台分ほどしかないです。近隣にいくつかコインパーキングがありますが、道幅が狭い箇所も多く豊富とはいえないので、あまりおすすめできません。お彼岸や混雑時期には、車での来園をしないようにアナウンスされています。
雑司ヶ谷霊園の園内案内
雑司ヶ谷霊園の墓所面積は約10万平米(106,110㎡)と、都心部の都立霊園では青山霊園に次ぐ広さとなっています。
散策するなら、まずは管理事務所で園内マップを入手しましょう。マップ裏面には、雑司ヶ谷霊園に眠る著名人一覧とその墓所が、50名分が掲載されています。(一部を記事後半でご紹介)
紙のマップと園内案内図では、方角が逆向きになっていますね。方向音痴な人にはつらいです…。
雑司ヶ谷霊園の施設と特徴
雑司ヶ谷霊園の墓地使用状況
雑司ヶ谷霊園には、いわゆる一般埋蔵施設とよばれる一般区画の墓所のほか、短期埋蔵施設、一次収蔵施設があります。
面積 | 面積 | 使用者数・数 |
---|---|---|
一般埋蔵施設 | 106,110㎡ | 8,166人 |
短期収蔵施設 | 1,958㎡ | 3,950箇所 |
一次収蔵施設 | 229㎡ | 2,880体(保管可能) |
「崇祖堂」について
昭和13年12月に建設された「崇祖堂」は、管理事務所横にあります。
ここにはロッカー形式の短期収蔵施設(旧家族納骨壇)、一時収蔵施設、簡易な法事が可能な式場があり、昭和34年5月に増改築されて、現在に至ります。
近年はこの「崇祖堂」にある短期収蔵施設(ロッカー型墓所)のみ、使用者募集を行っているんです。(詳細後述)
一般墓所区画
中の方へ入ってみると、時が止まったかのような空間に感じられます。
場所によっては整地状態がまちまち、区画間隔がばらばらなところも。方向感覚を失わないように注意が必要かもしれません。
短期収蔵施設の募集について
雑司ヶ谷霊園では一般墓の新規貸付は、例年の都立霊園募集の対象になっていませんでした。もう長いこと受け付けていないようですね。
ただし、短期収蔵施設については、雑司ヶ谷霊園単体での募集期間を設けています。
本年(令和3年)は9月10日に公式サイトの「雑司ケ谷霊園からのお知らせ」にて告知がされ、申し込み期間は10月1日〜10月15日となっています。
広く告知される都立霊園の募集と違い、雑司ヶ谷霊園のみでの告知・申込書類の配布となっています。聞くところによると、例年この時期に若干の募集がひっそりと告知されているにも関わらず、抽選は免れないとのことなんですね。
短期収蔵施設とは
短期収蔵施設とは、先に紹介した「崇祖堂」内部に設置されているロッカー式の墓所で、10体用、4体用、2体用の3種類があります。
3階建ての建物の、おもに1階に10体用のロッカー式墓所区画が、2,3階に2体用・4体用のロッカーが並んでいます。
「崇祖堂」の開館時間は、9:00〜16:30となっています。この時間であれば、いつでも参拝することができます。献花は、用意された専用の金属製花瓶のみを使用して、扉に取り付けることができます。焼香は、所定の場所のみですが、仏具の貸し出しなどもあります。
令和3年度募集要綱
「令和3年度 雑司ヶ谷霊園 短期収蔵施設募集要綱」のなかから、一部を抜粋します。詳細は、募集要綱や申込用紙を確認、不安があれば窓口や電話での問い合わせをおすすめします。
申込区分と募集数、金額(令和3年度)
種類 | 募集数 | 金額(5年分) |
---|---|---|
10体用 | 4 | 154,000円 |
4体用 | 28 | 21,000円〜26,000円 |
2体用 | 18 | 9,000円〜11,000円 |
※申込区分ごと当選順位により使用場所が決定され、場所を選択することはできません。
短期収蔵施設の使用期間は、許可日から5年間と決まっており、別途使用料によって更新が可能です。また、使用者が亡くなった場合、承継(名義変更)により使用権を親族に引き継げます。
全部で3,950箇所ある施設のうち、返還された施設が再貸付される仕組みです。10体用がもっとも当たりづらいと伺いましたが、絶対数の問題でしょうか……。
申込資格・注意事項
- 都内継続居住3年以上
- 現に遺骨があり、申込者と申込遺骨との関係が親族(血族6親等、配偶者、姻族3親等内)で申込者が祭祀主催者であること
- 都の一次収蔵施設以外の都立霊園埋収蔵施設の使用者でないこと
- 改葬骨、分骨、所定の場所保管遺骨での申込はできません。
- 現在、短期収蔵施設を利用されている方は、新たに申し込むことができません。
現に、申込遺骨があること、が申込条件ですね。お墓じまいの改葬や、生前申し込みなどには対応しません。
「将来お継ぎいただく方がいらっしゃらない場合、お申込みはお薦めできません」と明記もされている通り、継承される前提のお墓であるという性格は理解しておくべきでしょう。
申込期間・方法
募集要項と専用の申込用紙は、雑司ケ谷霊園の窓口でのみの配布となっているようです。配布・申し込みの期間ともに短めの設定ですね。以下が、流れとなります。
- 申込:令和3年10月1日(金)〜10月15日(金)毎日午前9時〜午後5時まで
専用の申込書に必要事項を記載、切手(63円×2枚)貼付の上、雑司ヶ谷霊園へ持参もしくは郵送(消印有効)
- 申し込み:令和3年10月1日(金)から令和3年10月15日(金)毎日午前9時〜午後5時まで
- 抽選日時:令和3年11月12日(金)10時〜
- 抽選結果通知:令和3年11月22日(月)以降発送予定
- 審査日時(当選者のみ):令和3年12月5日(日)〜12月16日(木)
専用の申込書に必要事項を記載、切手貼付の上、雑司ヶ谷霊園へ持参もしくは郵送(消印有効)
- 使用料納入:令和4年1月以降
- 使用許可証交付・使用開始:令和4年2月以降
申し込みは郵送でもできますが、内容の理解不足や不備があるとたいへんなので、窓口で申し込むのが安心できそうです。
雑司ヶ谷霊園を訪れてみて
今回、短期収蔵施設の募集を知ったことで、興味を持った雑司ヶ谷霊園。
一般区画の募集がずっとなかったので盲点でしたが、都内好立地の歴史ある霊園の一角に、納骨場所を確保できるのであれば、選択肢に入る方も多いのではないでしょうか。
短期収蔵とはいえ、継承前提のお墓として、一般墓より圧倒的に安価な貸付料で、墓石建立費用やメンテナンスが不要である点は、大きな魅力であるといえます。
建物自体の古さに若干不安はあるものの、都の施設としてしっかり管理され続けるはずですし、年季入ってるところが風情だったりもしました。
今年の募集はもう締め切ってしまいますが、例年のことと気に留めつつ、今後もなにか動きがあれば、情報集めていきたいと思います。
墓所の方には夏目漱石はじめ歴史的な著名人のお墓が多く、もうすぐ150年にもなる都立霊園の風格・存在感を見せつけられたような気がします。そうした、著名人のお墓もいくつか巡ってきましたので、別途後編記事にしますね。
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