現在お墓をお探しで、東京都にお住まいの方は、都立霊園という選択肢もあるかと思います。都内と千葉県松戸市に計8つある都立霊園にお墓を入手するには、年に一度の期間募集に限られ、例年6月後半がその時期となっています。
検討してみようかな、という方へ、事前にチェックしておきたいポイントをまとめてみました。
都立霊園の募集要綱
05月26日に、東京都より【令和3年度 都立霊園 使用者の募集要綱】が発表されました。
申し込み期間は、令和3年6月15日(火)~7月2日(金)まで。年に一度、約半月ほどの期間しかありません。
申し込みはインターネットか郵送なのですが、必要事項の詳細が掲載され、郵送用申し込み書類でもある「申し込みのしおり」は6月15日にならないと配布されません。
そのため、都立霊園の公式サイトでの事前情報をしっかりと把握しておく必要があります。
基本的に、募集定数を申し込み数がオーバーすることが前提となっていて、令和3年8月19日(木)に抽選が行われる予定となっています。抽選が当たれば、12月から使用可能となります。
公式サイトでは昨年度の抽選結果を公表していますので、およその倍率も参考にすることができます。
情報収集、頼るならよく考えて
どんな霊園があるのか、そこに希望の種類のお墓はあるか、今年度に募集はあるかなど、情報を入手するところまでは、公式情報で十分に得ることができます。
ただし、種類や条件が複雑で、見づらい、把握しづらいのが難点。ご自身のケースの場合申し込み対象にあるのか、必要書類は何なのか、なかなか把握しづらいかもしれません。気になることは電話で聞くのが早いかもしれませんね。
【都立霊園相談テレフォン】
0570-783-802
(自動アナウンスのみは無料)
8:30~17:15 年末年始除く
ちなみに、都立霊園公式サイトでは今年からチャットbotのシステムをつかって問い合わせもできます。ちょっと使ってみたのですが、botなのであまり精度は期待できない……かな。(わたしは電話の方が早い!と思ってしまうタイプです。)
そして「申し込みたい」となった場合、6月15日になったらいち早く「申し込みのしおり」を入手しましょう。ネット上に散らばった情報も冊子にまとまっているので、比較的見やすいからです。
【申し込みのしおり配布場所】
①都内各区市町村及び松戸市の窓口(詳細は、各区市町村へ確認)
②都庁第一・第二本庁舎1階・2階の案内コーナー
③各都立霊園及び瑞江葬儀所管理事務所の窓口
④東京都公園協会本社
※公園協会のホームページから申込書はダウンロードできません。インターネット申込みをご利用ください。
霊園近くの墓石屋さんや大手の葬祭業者さんでは、事前相談に乗ってくれたり、申し込みの代行のサービスもあるようです。親切に教えてくれるはずですが、抽選で当たった際には、必然的にその墓石屋さんをつかうことになるでしょうから、それも含めて相談相手を決める必要があります。
申し込み書類を送ってくれるという親切なサービスもあるようですが、個人情報を渡すためあとからセールスの電話などがかかる可能性があることも注意してくださいね。
また、ネット上には見やすく整理してくれている親切な情報サイトがたくさんあるので、流れや要点はチェックできると思います。
都立霊園の特徴(メリット・デメリット)
ここでは都立霊園の特徴やチェックしておきたいポイントをあげてみます。人によってはメリットであり、逆にデメリットになることもあるかと思いますが、検討の参考までにざっくりとした特徴です。
無宗教・誰でも入れる
居住年数などの条件を満たせば、宗派仏式、無宗教を問わず(火葬骨のみではありますが)、誰でも入れるのが都立霊園です。お墓というと菩提寺やつながる煩わしさを感じてしまう方もいるかもしれませんが、そういった心配がないですね。都立霊園とのやりとりは事務手続きのみとなります。
何事も自分で手配・管理
使用許可を受けたら、お墓を建て、納骨までの手配をするのは使用者本人となり、その後も管理が必要となります(永代供養墓をのぞく)。共用部分の管理は行き届いていますが、区画内の清掃はすべて自己管理になります。
一般の寺院墓地や法人管理の霊園、納骨堂の場合、年忌供養や春秋の彼岸供養などをお知らせしてくれたりもしますが、公営だとそこまでのサービスはありません。
管理料が比較的やすい
その分、年間の管理使用料が比較的安く設定されています。また、永代供養施設であれば初期費用のみで年間管理料が不要な場合もあります。都民税を払っている分、権利として公的サービスを利用すると考えられるかもしれません。
現在は、公益財団法人東京都公園協会が指定管理者となって、管理・運営されています。
区画使用料も比較的やすい
比較対象により一概には言えないのですが、区画使用料、施設使用料も民間よりお安めに設定されているようです。
ただし都営であってもやはり、都心の墓地は地価に応じて高い、ということは覚えておかねばなりません。立地と区画の広さに応じて使用料が定められていますので、似たような条件なら、ということですね。とにもかくにも事前に確認です。
公的に永代管理される
寺院墓地、地域の墓地や霊園、近年増えている納骨堂や樹木葬などは、民間の経営となっているためこの先どのような管理状況になるかは分かりません。一方自治体管理の都立霊園、公的な機関ですので、民間経営より安定的に運営されていくでしょう。規模が大きく利用者が多いのも、安心材料にはなるかもしれません。
その他にも、霊園ごとの特徴はたくさんありますし、逆に気になる点もあるかもしれません。あくまで個別のケースに応じて考えてみた方がいいですね。そもそも申し込み制度が複雑面倒で、抽選であることから誰もが平等に利用できない……などは行政サービスあるあるでしょうか。
都心型か、郊外型か
都立霊園はぜんぶで8カ所あり、立地によって大きく2つのタイプに分けられます。
立地の観点からみた解釈ではありますが、志向として大別し、どちらが自分のケースに向いているかをまず第一に検討してみるのがおすすめします。
住まいに近いか遠いか、ご家族に縁ある土地か、アクセスのしやすさはどうか、好みの墓地タイプかどうか、雰囲気はどうか……そして、使用料はどうか、そもそも募集しているのかなど、さまざまな観点から検討してみましょう。
都心型・4霊園
霊園名 | 開園年月日 | 開園面積 | 所在地 |
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雑司ケ谷霊園 | 明治7年9月1日 | 106,110㎡ | 豊島区南池袋4-25-1 |
青山霊園 | 明治7年9月1日 | 263,564㎡ | 港区南青山2-32-2 |
谷中霊園 | 明治7年9月1日 | 102,537㎡ | 台東区谷中7-5-24 |
染井霊園 | 明治7年9月1日 | 67,911㎡ | 豊島区駒込5-5-1 |
青山霊園に関しては、昨年度の抽選倍率や価格面を検証してみました。
郊外型・4霊園
霊園名 | 開園年月日 | 開園面積 | 所在地 |
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多磨霊園 | 大正12年4月1日 | 1,280,237㎡ | 府中市多磨町4-628 |
八柱霊園 | 昭和10年7月1日 | 1,046,468㎡ | 千葉県松戸市田中新田48-2 |
小平霊園 | 昭和23年5月1日 | 653,545㎡ | 東村山市萩山町1-16-1 |
八王子霊園 | 昭和46年4月1日 | 644,305㎡ | 八王子市元八王子町3-2536 |
気になったらまず見学に行ってみる、というのをおすすめしたいです。どの霊園もとにかく広いので、ハイキング気分でもよいかもしれませんね。公園墓地を目指した郊外型はもちろん、都心にあっても自然が豊かなのも魅力です。
個人的には上記3霊園しかまだ見に行けてないのですが、今後すべての都立霊園を見に行きたいと思っています。それぞれに赴きや個性があって、著名人のお墓などもあり、知れば知るほど奥が深いのです。
引き続き、都立霊園の募集要綱から、人気や倍率などを紐解いていきたいと思います。