東京都立の霊園はぜんぶで8箇所ありますが、その中で唯一、お隣の千葉県にあるのが八柱霊園です。今年で開園85周年を迎える歴史があります。先日、八柱霊園前の石材店さんのイベントに参加した折に、霊園内を見学してきた様子とあわせて、ご紹介します。
都立八柱霊園のざっくり概要
都立霊園の公式サイトから、だいたいの情報を入手することができます。
都立霊園の申し込みには、都内に3年以上継続して住んでいることが必要ですが、八柱霊園の場合は、千葉県松戸市の居住者も対象になる点がほかと異なります。また、埋葬関係の書類も松戸市に申請をします。
八柱霊園の所在・概要
八柱霊園がは東京駅から北東約20kmの千葉県松戸市東部に位置し、アクセスは JR武蔵野線の新八柱駅、または新京成線八柱駅からバスで5分ほどとなっています。
昭和のはじめ、東京市の人口増加による墓地不足に対処するために計画され、昭和10(1935)年7月1日に開園しました。大正12年開園の多磨墓地が西方、遅れて八柱霊園が東方の郊外をカバーするかたちとなったのですね。
「八柱霊園」の名称は千葉県東葛飾郡八柱村(やはしらむら)の地名に由来します。「霊園」という名称は東京市の墓地で初めての使用となったそうです。(多磨霊園は開所時には「多磨墓地」だった)
面積は1,046,468㎡、多磨霊園に次ぐ広さとなっています。東京ドーム(46,755㎡)22個分以上と考えると、かなりの広さですね。
霊園名 | 開園年月日 | 開園面積 | 所在地 |
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雑司ケ谷霊園 | 明治7年9月1日 | 106,110㎡ | 豊島区南池袋4-25-1 |
青山霊園 | 明治7年9月1日 | 263,564㎡ | 港区南青山2-32-2 |
谷中霊園 | 明治7年9月1日 | 102,537㎡ | 台東区谷中7-5-24 |
染井霊園 | 明治7年9月1日 | 67,911㎡ | 豊島区駒込5-5-1 |
多磨霊園 | 大正12年4月1日 | 1,280,237㎡ | 府中市多磨町4-628 |
八柱霊園 | 昭和10年7月1日 | 1,046,468㎡ | 千葉県松戸市田中新田48-2 |
小平霊園 | 昭和23年5月1日 | 653,545㎡ | 東村山市萩山町1-16-1 |
八王子霊園 | 昭和46年4月1日 | 644,305㎡ | 八王子市元八王子町3-2536 |
八柱霊園の園内案内
敷地は東西約1,400m、南北約750mの長方形に確保されていて、面積の約半分が墓所となっています。
南北に入り口が8箇所あります。車が入れるのは、基本的にクルママークのある東門、西門で、正門からは入れません。南門、南中央門からは土日、祝日、お盆やお彼岸のみ車の通行可能です。
また、霊園の正門まで続く約700mの参道が、大きなケヤキ並木となっているのも特徴です。
八柱霊園の墓地使用状況
一般墓地のほか、納骨堂(昭和12年開設)、芝生墓地(昭和36年開設)、壁型墓地(平成3年開設)、合葬式墓地(平成25年開設)があり、その使用状況は以下の通りです。
墓地種別 | 使用者数 | 埋葬体数 |
---|---|---|
一般墓地 (芝生墓地・壁型墓地含む) | 75,563人 | 316,291体 |
納骨堂 | 962人 | 1,360体 |
合葬式墓地 | 7,627人 | 7,758体 |
合計の使用者(管理者)は、84,000人と、多磨霊園をも超えています。東京都にとってなくてはならない大規模霊園ですね。
八柱霊園の施設と特徴
合葬式墓地
平成25(2013)年に開設した八柱霊園の合葬式墓地は、丘の上にありました。タイル貼りの広い空間をとっています。
直径30mの円形の建物は、鉄筋コンクリート造で地上1階・地下2階(地下1階が骨壷ごと埋蔵するカロート、地下2階が骨壷から出す共同埋蔵室)となっています。埋蔵可能数は10万体とのこと。2020年1月現在で7,758体埋蔵とのことですから、毎年一定数の募集で長期を見越しているのでしょうか。
正面に献花台が設けられ、いつでもお参り、焼香ができるようになっています。
GWだったこともあり、きれいなお花がたくさん供えられていました。
こちらでは毎年10月1日の午後2時から、合同の献花式を行っているそうです。
(令和2年は新型コロナウイルス感染防止のため中止、管理事務所所長による代表献花の様子はこちらのYouTubeに。)
八柱霊園の合葬式墓地は、以下の2種類の埋蔵方式があり、いずれも永代供養となります。
- 一定期間後共同埋蔵:20年間は地下の埋蔵室に骨壷に入れた状態で埋蔵し、その後は遺骨を骨壷から出して葬る共同埋蔵となる。1体あたり 134,000円(令和2年度)
- 直接共同埋蔵:遺骨を骨壷から出して共同埋蔵となる。1体あたり 54,000円(令和2年度)
使用料は1回限り、毎年の管理料は不要となっています。
すでに遺骨がある人の区分、生前申し込みの区分などに分かれていますので、抽選申し込み時、各種条件を確認のこと。
納骨堂
八柱霊園には、お墓を探したり準備したりするまでの間だけ、ご遺骨を預けられる一時収蔵施設(納骨堂)があります。
使用期間は1年間で、使用料は1年間で1,600円(令和3年4月1日改定)となっています。使用期間内にお墓が見つからないなどやむを得ない事情がある場合は、最長で5年間まで延長可能です。
納骨堂は左右に2棟あり、通常9時〜16時半(お盆・お彼岸は8時〜17時45分)開所している間は参拝できるようになっています。
改葬(墓じまい)のご遺骨は受け入れられない、「火葬許可証」があることなどの条件はありますが、抽選待ちの間や、ご自宅にご遺骨を置いておけないご事情のある方などには、便利なのではないでしょうか。一時収蔵施設がある都立霊園は、雑司ケ谷、多磨、八柱の3霊園です。
高低差とひょうたん道路
八柱霊園の立地で特徴的なのは、正門や管理事務所、いこいの広場付近が谷間になっていることでした。高低差を利用した景観づくりが行われていて、正門から入ったら墓地がいっさい見えないので、公園にしか見えないのですね。
小高い場所にある納骨堂付近へ行くためには、階段が設置されています。もちろん車椅子用スロープもあります。
北側の正門からは、墓所のどの方面へ向かうにも、ゆるい坂を登っていくこととなります。
地図上で見るとわかりやすいのですが、この道路は上から見てひょうたん型となっていて、ゆるやかなカーブが坂道を和らげている効果もありそうです。区画内でもこのひょうたん道路があることが、やさしい印象ももたらしてくれていました。
管理事務所
八柱霊園管理事務所は正門から入って左手、東屋の奥にあります。
諸々の受付や相談のほか、書類や園内マップなどをもらうことができます。
「ハチガイド」は八柱霊園の職員さんが作成したものだそうで、霊園に生息している蜂が12種類も図解されていました。ハチ好きさんにはきっと興味深く、ハチ嫌いでもハチに刺されたときの応急処置などが役に立ちますよ。
また、こんなものもありました。
先の合葬埋葬施設の電子墓誌です。故人のお名前で検索でき、埋葬日を確認できるようになっていました。施設からは少々離れていますが、平成25(2013)年開設時からデータ管理されていることが分かるので、安心できますね。
自然豊かな公園として
八柱霊園はとても緑が豊かで、広大な公園でもありました。園内にはアカマツ、クロマツのほか、春にはサクラ、秋にはモミジなど四季折々の自然が楽しめるようです。ハチの他にも鳥や小動物なども生息しているかもしれません。
八柱霊園は桜の名所でもあるようです。サクラマップには、サクラの品種ごとの場所やおすすめスポットが掲載されていますので、桜の季節はぜひ入手しておきたいところです。
芝生広場は明るくベンチも豊富にあり、お散歩や子連れ遊びはもちろん、お弁当も広げることができそうですよ。
八柱霊園を訪れてみて
千葉県にある都立霊園として気になっていた八柱霊園。あまりに広くて一部しか廻ることができませんでしたが、今回初めて訪れてみて多くのことがわかりました。
東京の東部から意外に近い場所に、これだけ広大で魅力ある公園型墓地があることは、あまり知られていないのではないでしょうか。わたしの場合、高速道路などをつかわなくても車で4〜50分ほどでした。
都立霊園の抽選式であることに変わりありませんが、都内の霊園より比較的安価にお墓を入手したい場合には穴場なのかもしれません。参道沿いには石材店さんが立ち並び、相談にも気軽に応じてもらえそうです。
それぞれに趣きも特徴も異なるもので、こうなったらほかの都立霊園も順次制覇してくなってきました。