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【エンディング産業展④】遺灰をアートに「供養絵画」として偲ぶ

供養絵画

2021年6月のエンディング産業展では、従来のお墓に代わるさまざまな弔い方、供養の仕方に出会ってきましたが、レポートの最後に、手元供養としての「供養絵画」をご紹介します。

こんな記事

手元供養という選択

先にご紹介した「宇宙葬」「ダイヤモンド葬」に関してはご遺骨を、物理的に、お墓に入れない選択肢をとるもの。「バーチャル墓」はご遺骨には触れず、生前にデジタルアートを創造し遺すもので、遺骨の処理問題はのこるものでした。

そう、お墓というのは形式の問題以上に、事実上はご遺骨をどこに保管するのか、どのように手放すのか、でもあります。

お墓=ご遺骨の行方」と考えると、そこには手放さないという選択肢もあって、それが「手元供養」と呼ばれる、ご遺骨を自宅や身近に置いておくことです。

ご遺骨は唯一のこされた故人そのものであると考えれば、お墓に納めずに手元においておきたい、という需要も一定あって、それもお墓のあり方でしょう。

では、遺骨をお墓に入れずに手元に、自宅に置く場合の選択肢にも多種多様あるのですが、今回は展示会でインパクトのあった手元供養のひとつの形をご紹介します。ごく少量の遺骨(遺灰)をつかうものです。

供養絵画〜遺骨を絵画に混ぜています

今回はじめてその存在を知った「供養絵画」です。第一印象でとても珍しかったのです。

最愛のご家族(ペット)のご遺灰を少量使用し、芸術として慈しみながら故人をより身近に感じることができる『供養絵画』を制作いたします。

ENDEX 供養絵画さくら 出展社紹介より

「遺骨を絵画に混ぜています」

展示会なので目立つように提示されている文言に、すこし驚かされます。パウダー状に粉骨したご遺灰を絵の具に混ぜ、アーティストさんが、絵画に仕上げてくれるというのです。

「供養絵画」の経緯

「供養絵画」を手がけるアーティストの吉春さんから、活動の経緯を伺うことができました。

はやくに亡くしたご家族のお墓の改葬をきっかけに、手元供養品をなにか作れないかと考え、得意の絵にしたのだそうです。

最初は反対していたご家族も、絵が仕上がりそれぞれに贈ったところ、子どもたちが手を合わせるなど、身近な供養品としての絵画を喜んでくれたのだそうです。一番喜ばれたお母様、そしてご自身も含めて、癒しの効果を感じていらっしゃるとのこと。

​それは「消費されないモノづくり」を理念に創作活動を続けられていることとも繋がり、こうした供養の形を知ってもらいたいということでした。

どうやって、どんな絵画になるの?

展示されていた供養絵画はどれも美しく、持ち主の方の賛意があったからこそ、そこにあったのだと思います。

左は看護師だったお母様の好きな色をつかってご依頼されたもの。右は可愛いペットの子猫ちゃんのもの。

まずはヒアリングで、モチーフにしたい故人の好きだったモノやコト、思い出、風景、色合い、ペットちゃんのイメージなどを吉春さんに伝え、予算に応じて仕上がりを決めていきます。そして絵画制作に必要なご遺骨(3g程度)を送り、仕上げてもらう、完全オーダーメイドですね。

展示を見ると抽象画が多いのかとも思ったのですが、ご相談で具象化、人物画などもできるそうです。相談ありきですね。

やはり気になるお値段を伺ったところ、サイズに応じて左はご予算は左で50,000円、右は80,000円とのこと(額縁込み)。完全オリジナルで、想いも含めて素敵に仕上げてくださるのに、良いのでしょうか?と思ってしまいました。

まとめ

「遺骨を絵画に」というと、ちょっと重いのでは…とか、いろいろとグレー? など思う方もいるかもしれません。ただ、わずかな遺灰が絵の具に混ざっているだけ、ともいえます。そのように手元に分骨する供養品は、実はたくさんあるんですよね(別途紹介したい)。

今回初めて知った「供養絵画」でしたが、忘れたくない故人との記憶や想いを、生きている人をつなぎ、先々へと遺していける素敵なアートだと思いました。

どちらかといえば遺された人にとっての供養品という側面での紹介でしたが、生前に遺すものとして考えておくといった可能性もありそうです。

実際には当事者でないと分からないのかもしれませんが、癒される、つながるという実感を伴って提供するアーティストの声を聞けたことで、また新しい供養の形を知ることができました。

エンディング産業展・2021レポートこれにて完。

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