【読み解き】「終活」意識調査にみる「お墓」の優先順位は?

終活とお墓

ここ10年で急速に普及した「終活」とう言葉、「人生を終(しま)うための活動」全般を指していています。その活動範囲は広いのですが、「お墓」のことはどう扱われているのでしょうか。「終活」に「お墓」がどんな風に関わるのか、直近の意識調査を読み解いてみたいと思います。

こんな記事

「終活」とは?

「終活」の意味

そもそも(毎度お馴染み)、言葉の意味からみていきましょう。

しゅう-かつ【終活】
人生の終末を迎えるにあたり、延命治療や介護、葬儀、相続などについての希望をまとめ、準備を整えること。
◆平成21(2009)に「週刊朝日」で連載された「現代終活事情」により広く知られるようになった。

デジタル大辞泉

ここにもあるように、「終活」という言葉は2009年に初めて「週刊朝日」の連載で使用されたそうです。翌2010年にはユーキャン新語・流行語大賞でノミネート語になり、2年後の2012年にはトップテン語に選ばれるほど世間に広がりました。

このとき受賞対象となった故・金子哲雄 さん(週刊朝日編集部/流通ジャーナリスト)が生前から自分の通夜や葬儀・告別式、墓の準備を万全に進めていたことから、当初の「終活」は「人生の最期を自分の望むように自分で準備すること」を意図したものだったことがわかります。

「終活」の広義化

「終活」が広まった背景として、2012年に65歳以上人口が3000万人を超え高齢化社会が現実にやってきたことや、東日本大震災を通じて不慮の死があり得ることに、人々が思い関心を寄せるようになったからだといわれます。

それから約10年、さまざまに使われ社会に根付くなかで、言葉はその意味を広げていくものです。現在の一般的な捉えられ方はおおむね下記のようなものではないでしょうか。

  • 「人生の終わりに向けての事前準備をしながら、これまでの人生を見つめなおし、残りの人生を自分らしく生き自分らしいエンディングを迎えるための活動」(終活ライフケアプランナー)
  • 「人生の終焉を考えることを通じて、自分を見つめ、今をより良く自分らしく生きる活動」(終活カウンセラー協会)

自分の死後の、自分のための準備というある意味限定的な「終活」だったものから、「」「生前」をより良く生きるための活動を含んで考えられるようになり、具体的な行動や対象も増えています。

エンディングノートの普及

今や広く知られている「エンディングノート」は「終活」の第一歩ともいわれるツールです。

記入項目を見てみると、葬儀や墓の希望財産やお金、年金や保険相続遺言の有無など、自分の死後に発生することへの対応のほか、医療や介護の希望を想定したり、自身の経歴(自分史)を振り返ったり、交友関係を記したり、さらには「死ぬまでにしたいことリスト」など、書き込む項目も多岐にわたります。

どこから手をつけて良いものやら、と逆に悩んでしまう方も少なくないそうですが、全部埋める必要はないので気軽にできるところから取り組むことですね。(エンディングノートも調べ甲斐のあるテーマなのでまた別途…)

気づくのは、家族や周りの人に迷惑をかけないために、という配慮が重んじられるようになっている傾向と、一方で死から逆算して自分の生をいかに無駄なく豊かに暮らすか、という自分と他者の対象の二方向性でしょうか。

自分の死を前提にした活動ですから、ネガティブとポジティブをセットにしていくのはおおいに頷けます。

このような経緯や背景から、「終活」というあたらしい領域が生まれていったことは興味深いですね。同時代の目撃者としてだけではなく、だれもが当事者になる訳ですからね。

「終活」に関する意識調査

「終活」を細分化した意識調査

定期購読誌「ハルメク」を発行する株式会社ハルメクさんによる、「終活に関する意識調査」がつい先日発表されました。

【調査概要】
調査の方法:webアンケート方式
調査の対象:60~74歳の男女1008名(男性504名、女性504名)
調査実施日:2021年3月2日~3月3日
調査主体:(株)ハルメクホールディングス 生きかた上手研究所

「終活」との親和性が高そうな60才以上の男女が、どんな行動を「終活」として認識しているかというアンケート結果です。ピックアップするのは、用意された具体的・細分化された項目について、結果をランキング形式で出しているものです。

終活と認識されている項目ランキング

出典「ハルメク 生きかた上手研究所調べ」2021年4月20日リリースより

やはり「終活」の内容はだいぶ多岐にわたりますね。少数意見も含めて、なるほどと思うものばかりです。ただ、一般的な常識を聞かれているというよりは、自分ごととして認識していることを問われている質問のように思われます。自身に当てはまるケースが分散して、それぞれの回答率が低くなるのは否めないでしょう。

定期購読者35万人という50代以上女性雑誌No.1の「ハルメク」が調査主体なので、その知見からの選択肢が並べられていることを踏まえて。

「お墓」に注目してみると、12位に「お墓の準備・用意」(21.1%)、18位に「お墓の整理・墓じまい」(16.8%)と2項目に分かれて入っています。ランキングとしては微妙な立ち位置でしょうか。検討しているでしょうか。

この2つ、同じお墓といえど「(先祖の)お墓の整理・墓じまい」と「(自身の)お墓の準備・用意」と実は性格が異なるものなんですよね。ですから、両方を選ぶ人もいるでしょうし、すでにお墓を持って(承継して)いて入るお墓がある人は、いずれも選ばないことも考えられます。その場合は「墓の承継者を決める・話す」もあってもよいのすが、そこまでカバーするの求めすぎですね。

個人的には、ほかの終活に埋もれず、意識の上ではまあまあ検討しているのではないかと思います。

「終活」の実態調査

同じ「ハルメク」さんによる約2年前の調査には、すこし違った角度からの調査結果がでてきました。

【調査概要】
調査の方法:webアンケート方式
調査の対象:60~74歳のシニア男女720名(男性360名/女性360名)
調査実施日:2018年11月
調査主体:(株)ハルメクホールディングス 生きかた上手研究所

すでに終活を行っていると認識している人が、何を行っているか、を聞いています。

既に行っている終活TOP10

出典「ハルメク 生きかた上手研究所調べ」2019年1月17日リリースより

堂々の1位に「お墓の準備・用意」がきておりました。

必ずしも同じ終活項目があげられていないと思われるので一概にはいえませんが、終活におけるお墓への意識は高めなんだろうと思います。少なくとも60代以上にとっては。(先の「お墓の整理・墓じまい」も含まれる可能性もあり)

二つの調査結果からみると、今年の調査は、はじめる前の人も含めていわば希望的観測の終活のイメージで、選択肢がどれも終活らしくありそうなのだけど、実際にもっとも手をつけやすいのは「お墓」なのかもしれません。

上記のトップテン図では、各項目を「生前整理」と「死後準備」に分けているのもわかりやすいですね。「お墓の準備」は「死後準備」なのですが、「お墓の整理・墓じまい」は「生前整理」にあたるでしょう。このふたつはセットで考える必要もあって、その方が効率的という場合もありますね。

「生前整理」といってもお墓の引き継ぎ先が必要ですし、代々の墓となれば親族への確認も必要です。「死後準備」にしても家族と相談のうえで決める必要があります。

「お墓」に顕著なように、実は一人だけでは進められないことが潜むのも、終活の性格かと思います。

親世代と子世代の「終活」意識

また別の側面から、終活ビデオメッセージサービス〜kaede〜を運営する株式会社bondsが2020年9月に、西日本在住の60歳以上の男女と60歳以上の親を持つ男女を対象に行った、終活と家族からの想いに関する調査をみてみましょう。

【調査概要】
調査の方法:インターネット調査
調査の対象:西日本在住の60歳以上の男女/60歳以上の親を持つ男女
調査実施日:2020年8月24日(月)~2020年8月25日(火)
モニター提供元:ゼネラルリサーチ

終活で不安に感じることや想いについても触れていて興味深い調査だったのですが、やはり終活行動の実態と、世代を分けての意識調査の部分だけピックアップします。

Q:終活で始めていることを教えてください(複数回答可)/西日本在住の60歳以上の男女

親世代で終活を始めているなかでは「不用品の整理」(24%)がトップですね。お墓に関するのは「葬儀やお墓の準備」(8.5%)「納骨や火葬の希望・要望」(7.6%)と、まだ着手できていない人が多い様子です。「ハルメク」ではトップにきた項目なので、調査主体によって異なる結果が出ていることは留意しておかねばいけません。

続いて子世代。

Q:親が終活を始めた場合、手伝いたいと思いますか?/60歳以上の親を持つ男女
Q:親にどのような終活をしてもらいたいですか?/60歳以上の親を持つ男女

終活を手伝いたいと思う孝行者が多いことに安心しつつ、終活にのぞむことのトップは「相続手続きや遺言書の準備」(32.2%)と親世代とのギャップがあるよう。現実的ではありますが、親本人の意思を尊重したいと思うからこそ、生前に本人にしかできない準備をお願いしたい気持ちでしょうか。

「葬儀やお墓の準備」(11.4%)は3位ではあるものの、子世代の認識では低めでしょうか。「生前整理/死後準備」の分類でいえば相続同様に「死後準備」にあたるのがお墓ですから、親本人の意思を尊重する意識は持っていたいですね。

この調査をみて、わたしたち子世代も当事者意識を持ってのぞむべきなのが、親の終活なのだ、と改めて思いました。

まとめ

終活に関する意識調査は数多く、いろいろな目的で取られているので、やはり一様にはいきません。今回は「お墓」に着目してピックアップしてみましたが、それでも問い方や定義がさまざまに受け取れるものです。

「生前整理/死後準備」の捉え方も分かりやすいのですが、その両方にまたがるものもまた「お墓」の複雑さだと感じます。

また「死後準備」まではできても、一人では絶対に完結しないのは「お墓」はもちろん「終活」全般にいえることです。

「終活」や「エンディング」の界隈が盛り上がり、全体としてがポジティブなものに受け止められ、入り口が広がることは大歓迎です。「お墓」が優先順位をキープして、意識と実態が伴うように応援していきます。

さまざまな角度から「読み解き」もしていきたいです。

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