ホームページをリニューアルしました!>くわしく見る

【お墓のマンション】「永代供養」なのに「引っ越し」も簡単なお墓とは?

日本のお墓には、実にさまざまな形式、考え方、供養のタイプがあり、近年ますます多様化していますよね。

新しいものも続々登場していますから、最新のお墓の選択肢を知っておくことが大切です。お墓界隈の動向をウォッチしているおはかんり、今回は、引っ越し可能なネットワークを持つ永代供養墓をご紹介します。

「永代供養」なのに「引っ越しできる」ってどういうことでしょう?

こんな記事

ベンチャー発「お墓のマンション」

お墓にまつわるビジネスには、ざまな切り口から大・小・ベンチャー企業が多く参入しているものの、お墓というのは、人それぞれの信仰や思想によるところも大いにあって、その狙いや意図、志、将来性などが気になるところでもあります。

今回のお墓は、経営者のお顔が見えるある記事を目にしたことから、興味を持ちました。

早大・入山章栄教授が「お寺DX」を目指すベンチャーに期待する理由(上)|ダイヤモンド・オンライン
早大・入山章栄教授が「お寺DX」を目指すベンチャーに期待する理由(下)|ダイヤモンド・オンライン

実家のお寺を再興したという若き社長のお寺プロデュース手腕とともに、お寺やお墓に対する熱い想いが語られていたんです。

そんな記事内で登場するのが、お寺のインフラを使った永代供養ネットワークにして、お墓のマンション「燈(あかり)」。さっそくどんなお墓なのか、チェックしてみました。

お墓のマンション「燈(あかり)」とは

イラストを見ると、ロッカータイプの納骨堂とも言えるでしょうか。お墓はそもそも納骨堂と言える側面もあります。

これまで(多くは)地中にあったご遺骨を埋蔵するカロートを、地上に収蔵する形にして、かつコンパクトに、集合タイプにしたようなイメージですね。当然個別に建てる墓石は不要になります。

このマンションタイプのお墓が、日本全国のお寺にネットワークを持って、同じシステムで運用がなされるため、そのなかで引っ越しが可能になるという訳です。

まずは百聞は一見にしかず。実際にお墓のマンションが設置されている現場を訪ねてみました。上記サイトの内容と実物をあわせて、その特徴やポイントをレポートします。

赤穂義士ゆかりの観音寺(東京・谷中)

「燈(あかり)」が提携しているお寺は、東京だと1箇所のみ(2021年11月現在)。それが、台東区谷中の観音寺さん、真言宗豊山派の歴史ある寺院です。

観音寺は、JR日暮里駅から徒歩5分、東京メトロ千駄木駅から徒歩8分と、アクセスの良い立地にあります。

創建は1611年、1680年に神田からこの谷中に移転したそうで、忠臣蔵で有名な赤穂浪士にもゆかりがあるそうなんです。

境内には、四十七士を祀る慰霊塔もありました。

右手の宝篋印塔が四十七士の慰霊塔
目指す「のぼり」を確認

通りに面した門前に掲げられたのぼりには、「プレミアム個別墓・納骨堂」とありますね。さっそく拝見いたします。

永代供養墓「燈(あかり)」の実物

門をくぐり右手のお墓区域に入っていくと、本堂に沿った一角に「燈」がありました。思った以上に大きくどっしりとした印象です。屋根も付いていますね。

個別に区切られた104の個室が並び、いくつかにはすでに家名や戒名が刻まれていました。中央には仏様のモニュメントが祀られ、線香立て、香炉、供花台、花瓶が備えられています。

個室の扉になる部分は黒御影のようで、それぞれ四隅に文様が施されており、デザイン性が光ります。

写真に反射して映っているように、向いは一般墓が並んでいます。すでにお墓の風景の一部となっているように感じました。

永代供養墓「燈(あかり)」の特徴

すぐ横には、デジタルサイネージによる電子案内が設置されていました。なんと、タッチパネル操作で、その場でこのお墓の案内を見ることができるのです。

一方ではお寺への訪問者数を増やすべく、御朱印のプロデュースも進めていますから、そうした訪問客やこちらへの墓参者が興味を持ってくれたとき、より気軽に情報にアクセスできるようにという工夫です。

では、「燈」のお墓についてユーザー視点で、抑えておきたい特徴をピックアップしてみます。

特徴1:お寺の安心、お掃除不要のお墓

「燈」は、これまで通りの寺院墓地の中にありながら、宗旨・宗派を問わず誰でも利用できることを約束してくれています。

観音寺はもちろん、どこのお寺の場合でも檀家になる必要はありません。俗名での納骨もOKです。檀家にならずして、歴史ある、そして将来的にも、ある意味専業で存続していくであろうお寺に、お墓を持てるのです。

お寺で供養・管理してもらっている安心感が備わっている一方で、この形態であれば、墓石のお掃除や区画の草むしりなどが不要になるため、余計な心配がいらず、気軽にお墓参りに訪れることもできそうです。

特徴2:個室のスペースを確保できるお墓

お寺が永代にわたって供養してくださるのが、永代供養墓。でも、その多くはご遺骨を一緒にして合祀したり、ほかのご遺骨と同じお部屋に収納されたりするものが多いです。

「燈」は、1家族につき1個室という、マンションタイプです。物理的にスペースが区切られているということは、ご遺骨の存在、供養の対象がハッキリします。

ご遺骨の在り処としてのお墓の概念をキープしながら、コンパクトな個別のスペースが確保できます。とはいえ家族のお墓としても問題なく、10体分程度は入るそうですし、お一人や少ない人数であっても違和感がないですよね。

またマンションのように共同住人さんがいると思うと、訪問者も増えて、寂しくないかもしれませんね。

特徴3:初期費用のみ、将来の負担がないお墓

「燈」は、初期費用のみで永代に渡って追加の出費がない点を、打ち出しています。従来の寺院墓地の個別墓では、お寺へのお布施や、年間の管理費などがかかるところ、それらが一切ないのは魅力といえるでしょう。

生前購入にしても、将来的に子世代に継承するにしても、期限の見えない(決められない)費用を懸念する人も少なくありません。そうした理由から、永代供養墓が選ばれる経緯はあるのですが、「燈」のもう一つの付加価値は、ネットワークの別の寺院に引っ越しができるという点にあります。一般的な永代供養の合祀墓、合同墓では引っ越しはできません。

引っ越しの際は、一体8万円〜移動可能とのこと。一般的なお墓で引っ越しをしようと思った場合、墓じまいと新たなお墓の購入費等で100万は下らないと言われていますから、負担はかなり少ないです。

また、納骨時点で永代供養として扱われるため継承者の必要はなく、引っ越し可能な期間は33年間ということです。

ライフスタイルの変化、災害の懸念など先行きが見えない時代に、家族が将来どこに住むかはわかりません。引っ越しの可能性に対する負担が少なければ、将来の「お墓が遠い」という悩みや不安は解消できそうですね。

「燈(あかり)」の費用

「燈」利用にあたっての気になる初期費用、そのほかにかかる費用関係をまとめてみました。

一区画費用
70万円から ※寺院により最低価格が異なる。
観音寺の場合 … 85万円から
寄付金・年間管理費:一切なし
※一部、屋内納骨堂については管理費負担の場合あり

寄付金・年間管理費

一切なし
※一部、屋内納骨堂については管理費負担の場合あり

オプション費用

納骨法要料30,000円(税込)
家名彫刻料33,000円(税込)
登録料10,000円(税込)
戒名・俗名彫刻料38,500円(税込)

引っ越し費用

8万円から
※移動するご遺骨の数、回数、移動先の納骨区画のプランによって変動
移動回数/ご遺骨数
1回目
1人
8万円から
2人
15万円から
3人〜
19万円から

※2021年11月現在の情報です。

詳細については、運営会社さんの専用窓口が用意されていますので、尋ねてみてくださいね。

まとめ

永代供養墓「燈」の実物は、屋外の集合型のお墓(納骨堂)としては、これまでに見たなかでもインパクトが強いものでした。

それは、お寺やお墓のさまざまな課題を解決したいと手を挙げたベンチャーの気概の顕れなのでしょうか。

私自身は、都会の便利な場所にあれば、お墓の引っ越しの必要性は感じていなかったのですが、この先の社会や暮らしはどう変化していくか分かりません。

引っ越しが簡単な永代供養墓ネットワークは、社会の変化を前提に先を見据えた、一歩先ゆくお墓の形として、不安や無駄をなくしたい多くの人のニーズに応えられるのではないでしょうか。

お寺の安心というところにも、魅力があります。
とはいえお寺だってどうなるか分からない時代に、お寺の永代的な存続をサポートするような取り組みを並行している点、この先の全国ネットワークづくり含めて期待したいところです。

最後に、観音寺さんへ訪問させていただき、ありがとうございました。

良かったらシェアお願いします!
  • URLをコピーしました!
こんな記事