「お墓参り代行」を調べてみると、多方面の業者さんが扱っていたり、ふるさと納税の返礼品になったりと、思いのほかサービスの多様性があることがわかりました。
そんな中で新しく登場した「ほたる参り」は、利用者・代行者をアプリでマッチングさせてくれるサービスです。以下の記事でもさらりと紹介したのですが、代行を身近な存在にし得るのではないか? と注目してみました。

アプリで簡単に、ユーザーと代行者をマッチングできる今どきの仕組みとは、どんなサービスなのでしょう?
「ほたる参り」誕生ストーリー

まずは、今夏からサービスを開始した「ほたる参り」誕生の背景から。
京都で「ほたる参り」を運営する山添さんは、コロナの蔓延下で過酷な環境で働く医療従事者の方々に心を打たれ、ご自身も世の中の役に立てる何かがないかと考え始めたとおっしゃいます。
あわせて失業者も増えていることから、雇用を生むことができないか。と考える一方で、お墓参りには代行のニーズがあって、個人でも代わりにしてもいいという人がいるということを知って、その相互をつなぐシステム作りに着手したそうです。
代行者を雇用するとなると大変なことですが、お墓参りというのは、おそらく誰しもが生活の中で経験済みであるため、誰もが引き受けることができます。また、地域ごとに異なるお墓のマナーがあったとしても、働き手も地元であるからこその強みを発揮できます。
アプリで代行・依頼というスタイルであれば、無理なく全国展開に当てはめることができるはず、と考えたのだそうです。
なるほど、むしろお墓参りだからこそ、個人と個人をつなぐ地域でのマッチングができれば、頼みやすい、受けやすいものになるのですね。
代行者は当初想定した失業者だけではなく、社会との関わりを持つ個人、たとえば就労困難者や空き時間を活用したい主婦、学生さんから元気な高齢者まで、誰もが対象になるとも、感じているそうです。
専用スマホアプリによる「お墓参り代行」
お墓参りを「頼みたい」と「代行したい」ユーザー同士をマッチングする仕組みが「ほたる参り」。スマホアプリをつかって全国に対応できる仕組みを、2021年8月21日よりスタートさせています。

アプリを媒体にして、日本全国の誰でもが「利用者(ユーザー)」と「代行者(パートナー)」のどちらにもなれるサービスなのです。ですから、それぞれの立場からみていきますね。
「ほたる参り」利用者(ユーザー)の手引き
「ほたる参り」のお墓参り代行を依頼したい利用者(ユーザー)はこんな人になります。

「お墓参りに行きたいけど、行けない事情がある」
「お墓の様子が気になるから、誰かに確認してきて欲しい」
「せめてお墓の画像を送ってもらえたら、安心できる」
「ついでに、お墓の掃除やお参りをしてきて欲しい」
お墓やお墓参りに関して、悩みがある人ですね。
そんなユーザー向けの詳細な案内は、「ほたる参り」公式サイト と、下記の各リンクから確認できます。
お墓参り代行プランは2つ
「①お墓の見回りだけ代行~清掃の無いプラン」と「②お墓参り代行~清掃のあるプラン」のいずれかを選択できます。それぞれの特徴と、依頼料金を一覧にまとめました。
代行プランと料金
プラン | ①お墓の見回り代行 | ②お墓参り代行 |
清掃 | なし | あり |
メニュー | ・ご先祖さまに合掌でご挨拶 ・墓石の撮影 ・ユーザーへ画像送信 | ・ご先祖さまに合掌でご挨拶 ・到着時の墓石静止画撮影 または 動画撮影(※オプションの場合) ・敷地内清掃(雑草除去、ゴミ拾い、以前のお供え等のゴミ処理、墓石水拭き) ・お線香を上げて合掌 ・メニュー完了後の墓石静止画撮影 ・ユーザーへ画像送付 |
基本料金 | 4,950円(税込)/1基 | 10,540円(税込)/1基 |
同じ墓地内の追加 | +2,000円(税込)/1基 | +8,550円(税込)/1基 |
オプションメニュー | 各820円(税込)で選択 ◎献花(別途仏花代金)※1 ◎オリジナルお線香 ◎ゴミ処理(以前のお供えや仏花など) | ◎動画配信サービス :一基3,000円(税込) ◎献花 :820円(税込) (別途仏花代金)※1 |
サービス料 | 合計金額より20%加算 (損害保険料込み) | 合計金額より20%加算 (損害保険料込み) |
※1‥‥仏花は墓石一基につき一対、5段階の料金設定より選択。
【1,500円/2,500円/3,500円/4,500円/5,500円】(サービス料に含まない)


「ほたる参り」代行者(パートナー)の手引き
「ほたる参り」でお墓参りを代行するパートナーには、以下のような方が想定されています。



「隙間時間を活用したアルバイトや副業を探している」
「働く日時はあらかじめ自分でアレンジ希望」
「他人に合わさず自分のペースでの仕事が理想的」
「お墓の掃除やお参りを代行することが可能である」
ちなみに、代行者のことは「ほたるさん」と呼ぶそうです。なんだかほっこりしますね。
パートナーのお仕事に必要な情報は、「ほたる参り」パートナー専用サイト から確認できます。主要な情報は以下からご確認いただけます。
ほたるさんのお仕事
「ほたる参り」のパートナー(ほたるさん)になって、代行を受ける場合のおおまかなステップです。
18歳以上であれば、個人でも法人でも登録できます。
専用アプリ「ほたる参り」からパートナー登録、螢まいり事務局から採用メールがあれば、無事パートナー(ほたるさん)に。
ユーザー様とアプリ内チャットをつかって、代行に必要な情報交換をします。
- 霊園の中のどのあたりに墓石があるのか?
- こだわりのマナーはあるのか?(お線香の上げ方など)
- 業務実施日を伝えておくなど
- 業務終了の通知をする。(すべてアプリ内でできる)
- 自身のタイミングで螢まいり事務局に、報酬払い戻し申請をして入金を待つ。
ほたるさんの報酬
ほたるさんがお仕事としてお墓参り代行を受けた場合の、おもな報酬です。
基本報酬
- お墓の見回りのみ(清掃のないプラン) 3,465円
- お墓参り代行(清掃のあるプラン) 7,315円
+各種オプションに対して報酬あり
必要経費
- ほたるさんが負担するもの…現地までの交通費、現地での駐車料金、その他お仕事の道具一式
- 螢まいり事務局が負担するもの…お線香、仏花
基本の報酬に、オプション作業に対する料金が追加され、交通費などの経費は、ほたるさん負担となるのですね。お供えする仏花、お線香の実費は、事務局負担となるそうです。
万が一大事な墓石を破損させてしまったなどの不測の事態にも対応できるよう、弁護士と保険会社との連携が取れているのもポイントです。
「ほたる参り」オリジナルお線香
備品としてパートナーさんに提供するお線香にもこだわりたい、とほたる参りオリジナルのお線香まで準備しているそう。
お線香メーカーさんとコラボして、香りはもちろんデザインやカラーにもこだわって、オーガニックなお線香「蛍水香(けいすいか)」として商品化されるそうです。


お墓参りのお線香は、地域によって慣習が異なるものの一つだそうで、バラ使い、束使いにも対応できるように、お仏壇、墓参兼用と使えるなど、こだわりが感じられます。
こちらは、事務局を運営するアトリエkikujinさんにて、10月以降より販売も開始するとのことです。
専用アプリ「ほたる参り」
「ほたる参り」アプリはAndroid版とiPhone版が用意されています。ユーザーさんも、ほたるさんも、アプリを使います。


先に掲載した各手引きは、アプリ内のリンクからいつでも確認できるようになっていますよ。
まとめ
「お墓参り代行」をアプリでつなぐ新サービス「ほたる参り」について、大まかなポイントを紹介してみました。
ユーザーの立場と、代行者の立場、どちらもあるので説明も理解も少したいへんになってしまうのですが、双方の立場で、改めて「お墓参り」を考えることができるよい機会にもなるのではないか、と思いました。
「お墓参り代行」を身近に感じている人は、まだ少ないのかもしれません。でも、コロナ禍以前に、高齢化や暮らしの変化によっても、お墓参り代行の潜在的なニーズはあるし、今後も増えていくでしょう。
開発者の山添さんは、『お墓のお掃除とお参りの代行者を探すお手伝い』をするのが「ほたる参り」の役割だと感じて、今後全国に広げていきたいと考えているそうです。そうして、提供者の側からも、「お墓参り」の大切さやお墓を考えるきっかけを呼びかけていただけたら、嬉しいです。
おはかんりも、お墓の管理の課題について、さまざまな立場から考えていきます。

