2026年6月半ばーー梅雨がひと休みしてくれたような空の下、静岡県伊東市のガーデン葬墓地「はなうたガーデン伊東」を訪問しました。伊豆半島、相模湾をのぞむ元ゴルフ場というロケーションに「墓地」があると聞いたら、気になりますよね。東京からの小旅行気分でお届けします。
はなうたガーデン伊東とは

| 名称 | はなうたガーデン-伊東-(はなうたがーでん いとう) |
| 所在 | 静岡県伊東市吉田1006 |
| 開園 | 2024年9月 |
| 運営 | 公益財団法人 千の花々メモリアルガーデン |
| 設計・ガーデン整備 | 東武緑地株式会社 |
| 公式サイト | https://www.hanautagarden.or.jp/ |
東京から電車でのアクセス
- 特急踊り子号またはサフィール踊り子号利用:東京駅 → 伊東駅(約1時間40~45分)→ タクシーで約20分
- 踊り子号+伊豆急行線:東京駅 → 伊東駅(約1時間40~45分)→ 伊豆急行線で川奈駅(約8分)→ タクシーで約5分
- 新幹線利用:東京駅 → 熱海駅(こだま号 約50分)→ JR伊東線で伊東駅(約22分)→ タクシーで約20分
大阪・名古屋方面から、車でのアクセスなどは公式サイトをご覧ください。
特急踊り子号に乗れば、東京駅から乗り換えなしで伊東まで約1時間45分。伊東は言わずと知れた温泉の街、その先の川奈は名門ゴルフ場を擁するリゾートエリア。はなうたガーデン伊東が元ゴルフ場というのも、川奈という土地柄を知れば納得感があります。

伊東駅からは無料送迎バス(要予約)もありますが、今回は伊豆急行線に乗り換えて最寄りの川奈駅まで向かいます。ちょうど、金目鯛をモチーフにした真っ赤な観光列車”キンメ電車”に当たり。海景色を眺めるも、あっという間に 川奈に到着しました。はなうたガーデン伊東まではタクシーで約5分です。
案内所で受けるていねいな説明

まずは案内所へ伺います。この建物、かつてはステーキハウスだったそう。山側の眺望がひらけた大きな窓や、天然木のテーブル・椅子などがそのまま再利用されながら、華麗にリフォームされており、墓地の受付という雰囲気はまったくありません。リゾートに来たような贅沢な気分、寛いだ空間で説明を受けることができました。



はなうたガーデン伊東の特徴
はなうたガーデン伊東のオープンは2024年9月21日。かつてゴルフ場のショートコースだったエリアが生まれ変わったといいます。公益財団法人が霊園としての開発許可を得ているのは、総面積4万8千㎡を超えるという壮大な敷地。しかも、富士箱根伊豆国立公園内にあります。どのように墓所が作られているのでしょうか?

お墓としての要件
区画は【1m×1m=1㎡】が基本で、墓石や墓標は設置できません。
シンボルツリーもなく、あるのは区画全体を覆うグリーンの芝生で、ぱっと見は区切られていることさえ分からない作りです。これが、いわゆる樹木葬とは異なる、はなうたガーデン伊東独自の「ガーデン葬」です。
通常は墓所エリア内に立ち入ることはできません。ただし、管理はしっかりされているので、どこが契約区画の位置かは特定することが可能です。なお、区画の位置はドローンで確認することもできます(詳しくは後述)。

埋葬方法
ご遺骨は、土に還る紙製の専用骨壺に、3ミリ以下に粉骨して納めます。
区画の中央に深さ60センチほどの納骨ホールを掘り、2体までを上下に埋葬するのが基本で、6体まで埋葬できるエリアでは、周囲に40cmほどのホールを掘り1体ずつ埋葬します。
紙の骨壺は、長い年月をかけて溶け、土と一体化することとなるため、あとから取り出すことはできません。

骨壺は、お骨を上から覆うように花で満たして蓋をするのだそう。使われるお花の色や種類はリクエストに応じて、「花納骨式」当日のために手配されるそうです。
淡い色合いの紙製の、花で満たされた骨壺見本を手に取ると、とても軽やかな印象です。従来の陶器の骨壺では土に還らないからといって、機能面のみのいわゆる骨袋でもなく、色彩豊かで細やかな配慮を感じました。
契約区画にご遺骨が納められたら、そのまま大地と一体化していきます。あとから取り出すことはできませんが、後継者がいなくなったとしても、区画は保持されます。
はなうたガーデン伊東には合葬・合祀という概念はなく、永代に渡りその地で眠り続けることとなるんですね。
区画と契約プラン
なだらかな曲線でゾーニングされた設計となっており、ロープで囲われた内側の芝生部分が墓域です。

ゾーンは「は」「な」「う」「た」「の」「お」「か」の7種類。区画数は全部で10,000余り用意されているといいます。
※現在第一期として「う」「の」以外のゾーンが販売中
区画使用料は、税込498,000円(ゾーン「た」のみ598,000円)で、好みのゾーンと細かい場所も選ぶことができます。
契約時には、「一代式」「永代式」2種類のプランのうちどちらを選ぶかを決める必要があります。
| プラン | 特徴 | 対応エリア ※第1期販売区画 | 埋蔵数 | 使用権継続期間 |
|---|---|---|---|---|
| 一代式 | ・権利承継なし ・全埋蔵完了後20年間 ・専用区画として保持 ・関係性は問わず | ゾーン「は」「な」「た」 | 最大2骨壺/区画 | 最終の埋蔵後20年間(最終の埋蔵までの間は運営管理料の支払いが必要) |
| ゾーン「お」「か(ペット共葬)」 | 最大6骨壺/区画 | |||
| 永代式(家族墓) | ・権利を代々承継して使用 ・親族のみで利用 | ゾーン「お」「か(ペット共葬)」 | 最大6骨壺/区画 | 運営管理料を支払っている間 |
埋葬料としてご遺骨1体あたり123,800円、運営管理料は年間9,900円かかります。
ご夫婦2名とペット1匹で生前契約、一代式で申込む場合をモデルケースとすると、ペット共葬可のゾーン「お」の使用料498,000円、埋蔵料が3体分の371,400円(123,800円×3)で、初期費用合計869,400円(税込)。年間管理費の年間9,900円を最後の埋蔵のときまで支払います。
動画と資料を使ったご説明はとても丁寧で、質問も自由にさせていただけたので、訪問前にあった疑問はほとんど解消されました。
唯一無二のロケーション
説明を受けたら、いよいよはなうたガーデン伊東の墓域見学へ。ゴルファーにはおなじみの電動カートに乗って向かいます。約5分ほどの休憩所まで、スタッフさんが運転してくださるので安心です。

行き帰りには、稼働中のゴルフコースの横を通過していきます。ゴルファーさんがパットに集中するときは止まって待つなど、スタッフさんのさり気ない配慮はさすがでした。
お墓へ行くためにカートに乗るのは不思議な感覚でしたが、ゆっくりしたスピードも心地よく、ちょっとしたアトラクションのよう。小さなお子さんなどはこの時点で大喜びでしょう。この日は咲き乱れる紫陽花に迎えられました。



山の稜線を眺めたり、小鳥の歌声を聞きながら、清々しい気分で5分ほどゆっくり走っていくと、休憩所につきます。きれいな建物で、広場も併設しており、ここではイベントなども開催されるそうです。




ここから先は、今度は自動運転カートに切り替わります。ボタンのオンオフのみでカート道を勝手に進んでくれるので、景色を眺めているだけで目的地まで連れて行ってくれます。
お墓と電動カートが結びつくという想定がなかったため、非日常のレジャー感があり、かつ山道を歩かずに進めるという、メリットしかありませんね。
“ここだよ”と教えてくれるドローン
はなうたガーデン伊東は、墓標のない墓地です。芝生に覆われているので、目指すエリアの中でどこが目指す区画なのかは判らなくなってしまいます。そこで活躍するのが、ドローンです。
故人ごとに埋葬場所の位置情報をGPSデータとして管理し、その情報をもとにドローンが墓参者を案内してくれる仕組みで、国内初運用だそうです。
事前予約でドローンの案内を依頼でき、区画の契約者は無料です。
さて墓域に着いた頃を見計らって、空高くに飛んで来る姿を確認したと思ったら、あっという間に近づいて、気づけばすぐそこまで下りてきました。


高精度GPSによる位置情報によるため、ほぼ誤差なくたどり着けるそうです。
そのまま1.2mほどの高さに留まって、2分間ホバリング。ロープの外から場所を特定するには十分な時間です。この間にお参りするもよし、あとでゆっくりでもよいでしょう。
任務を終えると、再び30メートルの高さまでふわりと上昇し、基地へと帰っていきました。迷いのない挙動の一方で、健気な姿にも見えてなんだか感動するものがあります。
ドローン案内は利用者の皆さんにもとても好評だそうで、お子さんがこれを目当てにまた来てくれるという話も聞きました。テクノロジーがお墓参りを助けてくれる、とても現代的な体験ですね。

丘の上の絶景、かけがえのない時間
さて、ロケーションの醍醐味である丘の上からの絶景、芝生の広場、ガーデンの草花を楽しむ体験もたっぷりできました。
園内の自動運転カートは、絶景の丘まで連れて行ってくれます。右手には大室山、後方には小室山。目の前には広大な空と相模湾の水平線、伊豆の島々を視界に収めつつ、墓域を見下ろすこともできます。
この眺望はどれだけ見ても飽きません。ふと流れてくるのは鳥の声や心地よい風、静寂でありながらも、天然のBGMの心地よさは格別です。





手入れの行き届いた芝生は、寝ころびたくなるほどフカフカ。子どもやペットも大喜びで遊べるのではないでしょうか。
新緑豊かな季節だったこともあり、生命力も感じるのですよね。生と死を考えるきっかけをもらえる場所でもありました。


道中で草木の手入れをするスタッフの方にも出会い、こうした方々に支えられて、ガーデンは季節ごとの美しい花々で満たされていくのだと実感しました。気候や季節で異なる表情を見せてくれるに違いありません。
お墓参りという目的だけではなく、訪ねたくなる理由がどんどん見つかり、次の季節を想像するのもまた楽しいものです。
こんな人に
はなうたガーデン伊東は、元リゾートゴルフ場の絶景と豊かな自然のコンビネーションを活かした、ほかに類をみないお墓です。ドローンを使った墓所の特定なども含めて異色でありながら、その特徴はじつは分かりやすいともいえます。
宗教不問、永代供養や改葬需要、自然葬や樹木葬人気、関係性を問わず同じ区画に眠ることができるなど、現代のニーズに寄り添いながら、丁寧に設計されているからでしょう。
上記のようなニーズのほか、以下のような人におすすめできます。
- ゴルフ愛好家
- お花や緑、自然、ガーデニングが趣味
- 宗教儀礼に親しみのない人
- 家族や血縁ではない関係性の人同士
- お彼岸やお盆にこだわらず、空いている時期に訪れたい人
- 自分の代でお墓を終わらせたいと考えている人
- 合祀ではない供養を希望される人
- ペットと一緒に眠りたい人
まとめ
リゾート地の元ゴルフ場という面影を残したまま、生まれ変わったガーデン葬の地。想像はしていても、実際に訪れてみて初めて知り、納得できることばかりでした。
美しい曲線で設計された墓域や庭園の広大さを感じ、丘の上でのかけがえのない時間を過ごしてみると、お墓を訪ねたことを、ふと忘れてしまう瞬間もありました
お墓参りはします。故人を偲ぶ気持ちもあるし、思い出してもらえたら嬉しい。でも義務になってしまうのは悲しい。そんな現代人は多いのではないかと思っています。
自らが選ぶ側に立てば、ここで眠りたいと思えるかどうか。そこに会いに来てもらいたいと思えるかどうか。大切な方を偲ぶ側に立てば、その人を思い出す場としてふさわしいと思えるかどうか。人それぞれ、なにを大切に考えるか。そんなことも改めて考えさせられました。

※本記事は2026年6月現在の情報です。

