11月24日、令和3年度「第2回 墓デミー賞」の授賞式が開催されました。『墓デミー賞』は、昨年コロナ禍に入ってからはじまったものなのですが、いったいどんなイベントなのでしょう? 会場にて参加してきましたので、授賞式の様子とあわせてレポートします。
“ハカデミー賞”ってネーミングがいいですね!
墓デミー賞とは?
第1回の『墓デミー賞』は、新型コロナウイルスの影響が大きかった昨年、お墓版のGO TO キャンペーン” お墓参りに行こう ”の一企画として実施されました。主催は
お墓の大切さを見直し、お墓参りを「知る」「感じる」そして「行きたくなる」イベントにすることを目指して、石材事業者や、供養周辺事業者の有志によって、お墓参りに関する作文と写真を募集し、優秀作品を選ぶという企画です。
そして昨年11月のエンディング産業展の会場にて、栄えある第1回目の授賞式が行われ、盛況だったようです。
引き続き今年もコロナ禍にあって、それまで当たり前だったお墓参りができなかったり、近年増加する「墓じまい」への危機感などから、改めてお墓の役割を考えてもらいたいと、第2回開催の運びとなったのですね。
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第2回 墓デミー賞 開催概要
第2回 墓デミー賞は、本年4月から約半年間にわたり、おもに主催者や協賛者さんによって告知・募集がされていました。
- 対象:お墓参りに関心のある、またはお墓を大切にしている個人
- 募集内容:お墓参りの写真と作文(1,200文字以内)の2点を同時提出
故人との思い出やお墓に関する家族のストーリー、お墓を建てるエピソードなど。
※必ず写真は添付が条件
- 募集期間:2021年4月15日(木)〜2021年10月31日(日)
- 発表:2021年11月21日(月) ホームページにて
- 賞品:墓デミー賞大賞 1名 50,000円(金券)
特別賞 3名 10,000円(金券) - 審査員(順不同):藤原 巧 (審査委員長)、金子 稚子、吉川 美津子、勝 桂子、佐々木 剛、山口 康二、小野木 康雄、緑間 浩市、大橋 理宏
- 主催:墓デミー賞実行委員会(協賛企業有志)
- 後援:セラボの会、お墓のみとり®︎グループ、エンディング産業展
- 協賛:石材事業者及び供養周辺産業事業者、個人
10月いっぱいで募集が締め切られ、応募作品の審査を経て、11月の発表、授賞式へと進んだのですね。
第2回 墓デミー賞授賞式
2021年11月24日の午後、東京駅からほど近い会場(AP東京八重洲会議室 Gルーム)にて、墓デミー賞授賞式が開催されました。誰もに開かれた会だったので、また受賞者さんも参加されるということで、楽しみにして伺いました。
当日準備や事務仕事を一手に引き受けてらっしゃったのは、墓デミー賞実行委員会・委員長の大橋理宏さん。
じつは、大橋さんとは以前墓じまいのセミナーでお会いしていました。素晴らしい行動力で、業界でも信頼の厚い有名人のようです。誰でもウェルカムな雰囲気をつくってくださり感謝です。
受賞作品発表
まずは大橋委員長より受賞作の発表と、受賞者さんの簡単なプロフィール紹介がありました。こちらの冊子に、受賞作が掲載されていました。
以下、受賞の各作品全文は公式HPに掲載されていますので、ぜひ読んでみてください。
最優秀作品賞(墓デミー大賞)
コロナ禍に心を病み、自ら命を他ってしまったH。無力感に苛まれていた鳴海さんは半年後、何かに突き動かされるようにHのお墓に会いに行く。墓前で感じたこと、話したこと、そしてついには表題の言葉「もう、怒ってないよ」が綴られて……お墓参りが互いを赦し合う場となったようです。
優秀作品賞 3名
関西在住の初田さんは早くに墓地を買っていましたが、先々のことを考えて手放した矢先、愛妻が病に倒れてしまいました。その後妻のお墓への思いを遺品のノートに見つけ、家族で相談して改めてお墓を購入。孫がデザインしたモダーンでユニークなお墓が建ちました。以来、それまで縁のなかった東京上野の先祖代々のお墓にも、娘や孫がお墓参りに行くようになってくれたというエピソードも。
平野さんの夫の夢はずっと息子二人をプロ野球選手にすることでした。病で闘病生活が始まると、息子たちの野球の応援が生きる目標でもありました。そんな夫の無念の死の2週間後、息子の高校は甲子園初出場を果たし、そのスタンドには夫がいたと確信する出来事が。なんとも忙しい涙を流した夏だったそうです。
19年前に亡くなった父親のこと、母との墓参りを通じて思い出すエピソードが、父の墓所に咲くようになったドクダミの花とシンクロするように書かれています。「手がくさくなるから素手で触らないように」と言われたものの、ドクダミは墓石の周りで今も花を咲かせ、お墓参りでは5歳の娘が一緒に抜こうとするのだそうです。
受賞作品朗読・授賞式
授賞式のメインは、最優秀賞と優秀賞全4作品の朗読でした。
俳優でいらっしゃる日高里枝さんが担当してくださり、それぞれの作品に応じた声色と感情が重なります。
事前に読んでいたときと印象が変わるほどに、心に迫り、お墓への思いがより伝わる、素晴らしい朗読でした。これには会場にいらっしゃっていた受賞者さんも驚かれた様子でした。
続いて、4名の方への表彰と記念品の授与です。審査委員長で『墓デミー賞』の名付け親という藤原 巧氏から。
札幌から駆けつけた墓デミー大賞の鳴海さん、平野さん、そして服部さんの代理の方がそれぞれ賞を受け取られました。
鳴海さんの受賞コメントの一部です。
大事な人を亡くして心身を病むほどだったが、お墓参りに行ったことがきっかけになって、前に向かえるよになった。
やはりお墓は、私たちにとって必要なものだと強く感じたので、そのことを声を大にして伝えたい。
ほかの受賞者さんも、お墓そのものについて考える機会を得たことに感謝されていたのが印象的でした。
審査委員長による総評によれば、「お墓愛あふれる、心に響く作品が多く寄せられた」とのこと。
会場の終始和やかな雰囲気と、お墓参りのエピソードを通じて、距離が縮まっていた皆さんでした。
墓デミー賞に参加して
じつは今回、わたしも「墓デミー賞」の趣旨に賛同し、作品応募の形でも参加しておりました。
「お墓を建てたときのエピソード」「故人との思い出」「お墓に向き合い思うこと」といったお題を考えてみて、締め切りギリギリで応募した作文がこちらです。
残念ながら受賞は逃しましたが(笑)、自身の経験や家族の思い出を文章に残すことができて、とても良い機会になりました。
エピソードより大変だったのは、写真が必要なことだったかもしれません。普段からもっと意識してお墓の撮影をしておけばよかった、なんて。
探し出したお墓参りの写真は、あとから見るとたしかに良い思い出にもなっていたし、執筆の助けになりました。墓デミー賞実行委員会さんが、写真付きで募集している意図もよくわかったような気がします。
今回の受賞者さんたちの写真を見ても、記念写真的なものよりは、さり気ない風景のような写真が多く、日常の延長線上にお墓が溶け込んでいるようで素敵でした。
授賞式への参加だけでなく、その前から自身も応募して向き合ってみたことで、たくさんの気づきがあった「墓デミー賞」。関係者さんや参加者さんたちの、あたたかいお墓愛も感じることができました。
来年第3回を開催する予定だそうなので、これをきっかけに作品を応募してみたり、そうでなくてもご自身や家族でお墓について考えてみるのはいかがでしょうか? この「墓デミー体験」は、ぜひ皆さんにおすすめしたいです。
「墓デミー賞」がこれからも続き、多くの方のお墓への向き合いのきっかけになりますように!