「自分とお墓の関係を、一言で表すとしたら?」
すぐに答えられる人は、少ないかもしれません。
お墓参りには行っている。でも、そのお墓はどんな存在?と問われたら…。答えはあるのでしょうか?
2026年4月、渋谷ヒカリエで開催された「Deathフェス2026」で、おはかんりはそんな問いに向き合うワークショップ「お墓と私のこれからの関係 ― ルーツと記憶をたどるガイド付きワークショップ ―」を開催しました。
お墓との関係、どんな言葉が生まれたのでしょう?

なぜ、お墓と向き合うワークショップ?
おはかんりがこのワークショップを企画した背景には、ひとつの問題意識がありました。
お墓の形、あり方の急速な変化が取り沙汰されることが多い昨今、外形的な原因や理由が語られることが増えています。

お墓の継承や管理をめぐる課題の背景には、都市と地方の人口偏在、「家」という単位の揺らぎ、単身世帯の増加、そして「迷惑をかけたくない」という感情など、複雑な要因が絡み合っています。その上に、社会的な議論やメディアの多くは「どう処分するか」「費用はいくらか」という外形的な問いに向きがちです。
「外側の課題を解決する前に、自分がお墓に何を感じているかを知ることが大切なのではないか」と。
本ワークショップは、個人が主体的にお墓と向き合う機会の創出を目的に企画・実施しました。
ワークの流れ

ワークショップでは、7つのステップを通じて、自分とお墓との関係に段階的に向き合ってもらいました。シェアはしない、ただ自分のお墓と向き合って、書き出してみる時間です。
ご自身と関わりのあるお墓について、分かる範囲で書き出します。向き合うお墓を思い出すきっかけです。
そのお墓から連想する言葉を「お墓の価値観ワード」リストから3つピックアップします。リストはおはかんりのオリジナル、お墓から連想できそうな55の言葉が並びます。もちろん、リスト外の言葉もOKです。

お墓にまつわる自身の記憶・出来事・印象的な思い出を書き出します。時空を超えて、お墓の前にいる気持ちになってみます。いつ、どんな場面が浮かびますか?
その時の感情を書き出します。ここでは、「気持ち・感情リスト」を参照してピンとくる言葉をピックアップし、一番しっくりくる言葉を選んだら、なぜそう感じるかを書き出してみます。
選んだその感情の奥にある、「ニーズリスト」から自分が大切にしていることを書き出します。ニーズとは、心の奥にある願いのこと、一番しっくりくるものを選んだら、なぜそう感じるか書き出してみます。
※感情・ニーズリストはNVC(非暴力コミュニケーション)の資料(NVCジャパン・ネットワークより)を参考に、おはかんりがお墓ワーク用にアレンジしました。
Step2で書いたお墓の価値観ワードを見直して、もう一度、価値観ワードリストからしっくりくるものを選び直してみます。そして、自分とお墓の関係を「一言」で表現します。
「私とお墓の関係」をひと言で言うと?
お墓に関することで、3カ月以内にやってみたいことを考えてみます。
ワークを経てのお墓との関係

Step6の問い「私とお墓の関係」をひと言で言うと? から、どんな言葉が生まれたのでしょうか。いくつかの方向性が浮かんできました。一部をご紹介します。
無償の愛
応援してくれる存在
私の命とつながる
今の自分につながる場所
私が今ここにいるルーツ
両親とのつながり
感謝
愛であってほしい
故人とのつながりを感じ、向き合う場所
やはり「つながり」は強いキーワードですね。「愛」、「感謝」の象徴としてのお墓の存在が見えてきました。
生きる意味を見直し感謝を思い出す場所
どういう人生にしたいか?と向き合い、他人(親族含む)にどう表明していくかの機会
気持ちをリセットしてくれる存在
自分の内省と身近なコミュニケーションの重要さ
私の魂の還る所
自分の気持ち、人生、わたし自身が生きる意味まで、自身に向き合う鏡のような役割が出てきました。
あってもいいし、なくてもいい
墓地や墓石など有形な物じゃなくて良い
なくてもいい、まじで。
祈りによって先祖と会話する
見守りをお願いすることで故人と”あの世”ともつながる感覚
墓石の存在が「なくてもいい」という気づき、墓石を通じた祈りや会話の対象と感じ方もいらっしゃいました。
最低限のきずなのメンテナンスポイント
まずは家族と話をすることが今は一番大切!!
対話・報告・安心してもらう
親族が集う場所
連れて行かれる場所ではなく感謝を伝える場所
気持ちがある人に引き継ぐもの。その人らしくかかわるもの。
主体的な関わりや他者との関係性のきっかけとなり、確認できるのも、お墓の大事な意味や目的なのかもしれません。
みなさんの言葉は、ひとつも被りませんでした。
「つながり」「ルーツ」「愛」——お墓を温かく語る人もいれば、「なくていい」「有形な物じゃなくていい」と書く人もいる。どちらも、ちゃんと向き合った末の本当の言葉です。
「なくてもいい、まじで。」と書いた方は、「ほんとうの意味であきらめがついてしまいました。びっくり」という感想を寄せてくださいました。ちゃんと向き合った末の「なくていい」。
こうして予想外のワードが出てくるということに、ワークショップの手応えとともに、お墓の可能性を感じました。
参加者の声
ワーク終了後のアンケートより、いくつかの声をご紹介します。
「価値観の言葉が変化したのが興味深かった。義務的に受け継ぐものというより、今までの命のつながりと個人を尊ぶ場という認識になりました」(30代・女性)
「はじめにお墓に対して抱いた感情から変わったことにおどろいた」(40代・女性)
「最初に思い浮かんだ言葉は、先祖とか守られているなどのもらっている側でしたが、価値観ワークを通じて自分次第、主体性の方に思い至りました」(30代・女性)
「忘れていた事を思い出したり、気づいてなかった気持ちの発見があった」(50代)
「なんとなく、故人を偲ぶ場所、安らぎを覚える場所、という捉え方でいたお墓。今日向き合ってみたことで”つながり”をいくつもの意味で感じていたことに気づきました」(40代・女性)
「AとBまではたんたんとしていたが、Cで一気に色々とでてきて、親孝行できなかった申し訳なさや、幸せにならねばなと、私が私の命でつながって生きれば親孝行にもなるとも少し思えた」(40代)
最初の思い浮かんだ言葉は、先祖とか守られているなどのもらっている側でしたが、価値観ワークを通じて自分次第、主体性の方に思い至りました。(30代・女性)
「お墓の管理について親族全体を背負うような重圧を感じていたが、自分の気持ちを大事にしていいという当たり前のことに気づけた」(50代・女性)
「改めて自分の中にあった墓に対するモヤモヤがスッキリしました」(60代・男性)
「ほんとうにモヤモヤが晴れました!びっくり」(60代・女性)
「自分の気持ちに気づき、あらためて手続きすることに手をつけようと思えました。大切なことなので」(50代・女性)
「どのような形にせよ、まずは家族と話をすることが今は一番大切!!」(40代・女性)
さまざまな感想を寄せてくださり、ありがとうございました。
ワークショップを終えて
おはかんりは「お墓を、自由で身近な存在にする。」をメッセージに掲げています。
今回集まった言葉の多様さは、そのメッセージを体現するものでした。お墓を温かく語る言葉も、「なくていい」と気づいた言葉も、どちらもちゃんと向き合った末の自由な気持ちです。
お墓の課題がやってくる前に、まず自分がお墓に何を感じているかを知っておくこと。それが、その先のすべての選択——守り続けることも、形を変えることも、納得して仕舞うことも——につながると、おはかんりは考えています。
参加者からはこんな声もいただきました。
「お墓の問題はノウハウ的な情報が多いと思いますが、気持ちを考えてみるというテーマは新鮮でした」(50代・女性)
「内容が内容だけにシェア必須でないのがありがたかったです。いざというときこういう内容を相談できる場所が事前に知れてよかった」(30代・男性)
本ワークショップは、今後も機会を見つけて開催していきます。事業者さま・団体向けの出張開催などもお気軽にご相談ください。
<イベント開催概要>
- イベント名:「お墓と私のこれからの関係 ― ルーツと記憶をたどるガイド付きワークショップ ―」
- 開催日:2026年4月13日(月)・14日(火)
- 会場:東京・渋谷ヒカリエ 8F(Deathフェス2026内)
- 参加者数:計27名

※本記事は参加者の許可を得た上で、アンケート回答を掲載しています。個人が特定されないよう年代・性別のみ記載しています。
お墓のモヤモヤを、一度言葉にしてみませんか。
おはかんりでは、オンラインでお墓に関するご相談をお受けしています。「何から始めればいいかわからない」「漠然とした不安がある」という方も、まずはお気軽にどうぞ。
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