2021年4月前半の、お墓周りのネットニュースをピックアップしました。新型コロナウイルスによる緊急事態宣言からちょうど1年、引き続き余談を許さない状況くなか、4月は沖縄のお墓参り行事である清明祭(シーミー)にまつわる話題や、女性作家の訃報にも気付かされることがありました。
おはかんり注目の記事(2021年4月前半)
普天間返還合意25年 裏切られた期待「何も変わらない」
4月13日付「MAINICHI PHOTOGRAPHY」より、沖縄の伝統的なお墓参り行事にまつわるこちら「普天間返還合意25年 裏切られた期待「何も変わらない」」。

4月の初旬から中旬の行事「清明祭(シーミー)」にあたり、米軍・普天間基地内にあるお墓にお参りをする地元住民の記事です。
基地の敷地内に先祖代々のお墓がある人たちは、年に一度、事前許可制でしかお墓参りができないというのです。それでも親族一同お供え物を持って基地内に入り、お墓と周辺の掃除をして、ビニールシートを敷いて集っていました。本来賑やかに行われるはずの宴会が、これらのフェンス越しの写真ではとても寂しげに見えてしまうのです。
本件に関してはいくつかの媒体で記事が出ていましたが、この毎日新聞の写真7点付き記事に心が動きました。ネット記事では特に写真報道が目立つし、心に訴えかけられますね。
気になったので遡ってみたところ、当然今年に限ったことではなく、目に付くだけでもほぼ毎年同じような報道がされていました。知らなかっただけでした。
そして、今年の2月19日付けの記事「基地内のお墓2基の撤去 米軍、日本側に求める 資材置き場エリア拡張で| 沖縄タイムス+プラス」にも思いあたりました。

米軍が普天間基地内の整備拡大のため、そこにある2つの墓の撤去を求めたのに対して、沖縄防衛局が物件調査を実施、すでに所有者の承諾を得ているという内容です。さらに、墓の撤去補償に向けた調査として一般競争入札を行い、県内のコンサルタント会社が契約を取り付けるという新たな事業案件が生まれてるのも興味深いところです。
毎年清明祭の時期に報道されているものの、なにも変わらない状況が続いている一方で、米軍側からの働きかけには応じる受身な体制にあることを知りました。
このように沖縄における米軍基地問題の根深さを知ることにもなったものの、詳しく報じているのは沖縄の地方紙「沖縄タイムス」と「琉球新報」ばかりです。

そういう意味でも、毎日新聞の記事が多くの人の目に留まればよいな、と思うのでした。
昨年に続いてのコロナ禍にあって、沖縄全体でも少人数や短時間でのシーミーを呼びかけるような状況だったようですが、本来の明るく楽しくご先祖さまに感謝を捧げる、お祭り的なシーミーも見てみたいです。

ネット・雑誌記事より
【追悼】橋田壽賀子さん、生前に語っていた「私がお墓に入るとき」
4月4日に亡くなられた脚本家・橋田壽賀子先生が今年の2月まで連載していたという「痛快放談」から、お墓について語った回の再録記事です。

早くに亡くした夫の墓には入れない(入らない)経緯を聞くことは、どれだけ多くの女性たちの共感を得ることでしょうか。今治で両親も眠る橋田家の墓に入ることを決めてお寺に永代供養の手配まで済ませていることや、夫と一緒にこれからの時を刻むための墓も用意したという話に、わたしも感動しました。一人の女性としての経験談や含蓄ある問いは必読です。
これだけご自身の思いを言葉と行動できちんと残されていることが、なにより素晴らしいこと。遺された方々にも迷いはなかったでしょう、四十九日を待たずに今治のお寺に納骨されたという続報も届きました。この記事だけでなく、橋田先生の偉業に加えて生き方や終われ方も事実として多く報道されていることも、世間の注目を集めているのだと感じました。
橋田壽賀子先生のご冥福を心よりお祈りいたします。
「おうち供養」という、イノベーティブな“終活”とは?
お墓を自宅に置くという発想の「花供養墓」を取り上げた記事です。おしゃれですね。

この商品云々よりも、手許供養のお墓というテーマが「GOETHE(ゲーテ)」に掲載されている点で画期的だな、と思いました。偏見が入って恐縮ですが、雑誌のターゲットである「仕事の第一線で活躍する・人生を謳歌する。」イケイケ男性たちに向け、うまく入り込んでいます。実は日本のお墓文化を創り担う主体となるメイン世代の男性たちへ、さまざまな切り口で切り込んで欲しいので、応援してしまいます。
樹木の下に遺骨を埋葬「樹林墓地」を前橋市が販売へ
近年人気があるという「樹木葬」や「自然葬」の一形態の墓地を前橋市が取り入れたニュースです。「樹林墓地」の特徴や具体的価格などをわかりやすく伝えていました。朝の全国ニュースでやればそれなりに認知が上がりますし、他の自治体への波及効果にも期待するものです。
「本家の墓をどこへやった!」田舎の墓じまいトラブルに要注意

ちょっと不安を煽る系の記事かもしれません。でも「8050問題」や「田舎の墓問題」を端的にまとめている「週刊ポスト」の記事は、ある意味投げっぱなしだからこそ、自分ごとに置き換えられる人が多いだろうと思いました。
お墓を巡るトラブルは女性週刊誌なんかにも多く、面白おかしく書いている記事がゆえに他人事で終わらせてしまう危険性もあるのです、さじ加減が大事。ちょうどよい塩梅で、問いかけて欲しいものです。
「家族に頼れない」の解消に 性的少数者、親子、友人同士も納骨可能のパートナー墓

「沖縄タイムス+プラス」より、LGBTフレンドリー寺院を宣言をしているお寺のお墓を紹介する記事です。住職に思いを聞いていることで、温度感のある記事になっているし、都会では埋もれてしまいそうな情報は地方記事に学べると思いました。
まとめ
お墓の話題はお彼岸やお盆に向けられることが多いようで、目立った企業広報が見当たりませんでした。もちろん直接ではなく間接的に世に出ている情報は多いので、引き続きウォッチしていきます。経済のなかでのお墓にもたいへん興味があるのです。
それにしても、ある視点を持って世の中を眺めるとこれまでにない気づきがあるもので、さらに振り返ることで学びが深まることを体感しています。